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ベトナム人技能実習生の失踪:背後に横たわる根本的な原因とは?Part.3

2023.12.13仕事関係

技能実習生の失踪は、受け入れ企業や管理機関だけでなく、日本政府全体にとっても深刻な問題です。 技能実習生が失踪すると、「不法滞在者」として扱われ、犯罪率の増加など多くの懸念が生じる可能性があります。 現在、国別で見ると日本で最も多くの技能実習生がいるベトナムは、失踪者が最も多い国の一つです。 前回のブログ記事 Part.1 と Part.2 では、ベトナム人技能実習生の失踪につながる主な理由について説明しました。 この問題について話す際に、これらの主な原因に加えて、他に考えられる要因はあるでしょうか? そして、この問題の解決策は何が考えられるでしょうか? Part.3 のブログ記事で一緒に考え、議論していきましょう。

考えられる他の失踪の原因

 ② 送り出し機関の問題

外国人労働者の受け入れは通常、日本に送り出す機関を介して行われます。しかし、ベトナムを含む各国の送り出し機関には、その正当性が保証されない場合があります。不正な送り出し機関では、高額の仲介料を請求したり、入国後のサポートを提供しなかったりすることがあります。これが技能実習生の将来に不安をもたらす原因となっています。

技能実習生は自国の送り出し機関に、日本語教育や宿泊費を支払っています。中には100万円以上もの高額を支出し、その見返りに日本へと渡航する人もいます。ベトナムを含む技能実習生が最も多い国では、月給の平均がおおよそ3万円程度とされ、送り出し機関への支払いは、多くの場合、借金をしてまで賄われています。実際、日本での実習生の給与が予想よりも低い場合、借金を返済できない事態も起こり得ます。そのため、高収入を期待して悪質な仲介業者に誘われ、実習を放棄し失踪するケースが生じることがあります。技能実習生が実習外の仕事に就くことは法律違反ですが、この事実を承知の上で、借金返済や母国への送金のために、不法な労働を選ぶケースが増えています。

③ 日本の監理団体の問題

日本の監理団体は、技能実習生を送り出し機関から受け入れ企業に紹介し、雇用契約後も実習生のサポートを担当しています。しかしながら、悪質な送り出し機関と手を組む監理団体も存在します。

通常の監理団体は、信頼できる送り出し機関と提携し、技能実習候補生を募集し、面接を経て選ばれた候補者から入学金や受講料を徴収し、日本語教育を提供し、適切な時期に技能実習生を日本へ送り出します。一方、悪質な送り出し機関は、技能実習候補生を募集する際に不正な手法を用い、ブローカーを通じて募集を行います。

技能実習候補生に声をかけるブローカーは、情報が不十分な地方地域に派遣されて、制度の詳細を知らない若者に対し、「日本に行けば多額のお金を稼げる」と誤った情報を与え、高額な手数料を取って悪質な送り出し機関に紹介します。同時に、悪質な送出し機関も法外な受講料を課して日本語学校への入学を促します。このような高額な手数料や法外な受講料は、技能実習生が日本で働けばすぐに返済できるという誤った約束をし、それを信じた技能実習生は多額の借金をして支払うことになります。

技能実習制度の本来の目的を達成するためには、監理団体、送り出し機関、受け入れ企業、そして技能実習生本人の連携が極めて重要です。情報の透明性を保ち、技能実習生が法律に基づいた適切なサポートを受けられるよう、システム全体を改善することが喫緊の課題です。

④ 技能実習制度の問題

技能実習制度は母国への国際貢献を目的としていますが、実際にはベトナム人を含むアジア圏出身の多くの外国人が日本に訪れる主な動機は、出稼ぎや送金をすることです。このような不一致が繰り返し議論されています。しかし、単純な労働だけでなく、日本での就労を続けたいと考える外国人もいます。各制度を利用する外国人に対し、目的に合った在留資格をサポートする仕組みが求められています。

まとめ

技能実習生の失踪問題に関連する主な理由は以上になりますが、失踪問題の責任については、法的に問題がなくても、各方面関係者の全体的に責任があると考えます。「技能実習生の失踪は誰の責任か」という問いに関して、企業側が金銭的なリスクを負う状況を被害者のように扱う風潮も見受けられますが、その考え方は適切でしょうか。

受け入れ企業は、送出し機関について監理団体を通じて問い合わせ、送出し機関のやり方や姿勢に問題がないかを確認することで、リスクを軽減できます。同時に、送出し機関も受け入れ企業がブラック企業ではないか、仕事の内容や企業文化、経営者の性格などを詳細に確認することで、リスクを減らすことができるでしょう。

技能実習制度は「労働力を確保しやすい」という利点がありますが、現在の制度運用では、求職者を軽視する傾向があるように感じます。これは労働基準法を守っていないという話ではありません。

他の国では、外国人労働者でも自国民と同じ基準で給与や待遇を決定することが一般的です。言い換えると、能力がある人には適切な給与が支払われ、能力がない人には低い給与が支払われます。日本は島国で単一民族であるため、外国人との交流において他国に比べて未発達な部分があるかもしれません。しかしながら、人口減少と労働力不足の中で、外国人労働者に対する管理方法を再考する必要があります。

また、ベトナム人技能実習生を含む在日外国人の多くは、一般的な日本人とは異なり、法令順守の意識が低い傾向があります。これは、出身国の教育やその国の法制度が日本ほど厳格でないことが影響しているかもしれません。そのため、日本に住む多くのベトナム人が必ずしも法を無視しているわけではありませんが、自分の行動が違法であることを理解していないケースもあります。特に、ベトナム人技能実習生の失踪だけでなく、犯罪件数を減らすためには、受け入れ企業が技能実習生に対して日本の法制度について最初から説明や指導を行うことが重要です。こうした取り組みにより、ベトナム人技能実習生が日本の法的常識を理解し、法を遵守することが促進されるでしょう。

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