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ベトナム人の時間感覚:時間厳守の習慣がない背景とは?

2023.11.30仕事関係

ベトナムは、その美しい景観と歴史的遺産に加えて、外国人にとって理解が難しい独自の文化を持っています。その中でも特に注目すべき点が、ベトナム人の時間感覚です。多くの外国人がベトナムを訪れたり、ベトナム人と共に仕事をした際、その文化的な違いに驚くことがあります。ベトナム人の時間感覚は、他国とは大きく異なる傾向があります。例えば、会議や待ち合わせにおいて時間厳守があまり重視されず、イベントや集まりでは遅刻が一般的であることが挙げられます。

なぜベトナム人は、時間に関する日本人などとは異なる常識を持っているのでしょうか?このブログでは、この疑問に深く迫り、ベトナム人の時間感覚の背景や文化的な要因について探求してみたいと思います。時間の概念や社会的文脈がもたらす影響、さらに異なる文化間での価値観の違いなど、様々な視点から深く考察していきます。

歴史的背景と文化的要因

ベトナムは近年、著しい発展を遂げましたが、未だに農業文化の影響を強く受けています。

人々が時間厳守の考えを持ち始めたのは、時計が発明された頃からです。しかし、時計は工業製品です。産業の進展に伴い、時間の概念はより精密になり、誰もが時間通りに行動したがります。車が急いで走り、その結果、高速道路が誕生しました。時間を節約したいというニーズから、ファストフードやインスタントコーヒーなどが次々に登場しました。また、テレビやラジオの番組も秒単位で進行しています。すべての活動はこれらの時計を中心に展開されています。

一方で、農業社会、特に昔も今ものベトナムの伝統的な農業では、人々は自然のリズムに従っています。その自然のリズムの中で、最も重要なのは季節です。人々は季節ごとに種をまき、収穫し、そして季節に応じて休息します。昼間の仕事は太陽と月の動きに合わせて行われます。

昔は誰もが時計を持っておらず、必要もありませんでした。朝には鶏の鳴き声で目を覚まし、日が昇ると水牛を畑へ連れていきます。太陽が天頂にあると昼食の時間になり、人々は休憩します。日が沈むと、水牛を家に戻します。暗くなる前に夕食を済ませ、食後は少し休んでから眠りにつきます。人々は自然のリズムに逆らうことはほとんどありませんでした。しかし、時計に縛られると、例えば冬には、日の出前にあまりにも早く畑に行っても何もできずに日の出まで待つしかなくなります。

さらに、農業活動において、僅かな遅れや早さは誰もが死ぬことはないというベトナム人の考え方もあります。早く働けば早く帰宅し、遅く仕事を始めたら遅くまで働きます。仕事中に雨が降ってきたら雨宿りをします。今日できなかったことは明日や明後日にもできます。何千年も続いてきたこのような生活様式や文化は、容易に変わるものではありません。それがベトナム人の時間感覚に大きな影響を与えています。

集団志向と柔軟性の観点から

日本の文化は集団志向が強く、グループや組織の利益を尊重する傾向があります。この集団志向は、「お互い様」や「社会的義務感」といった概念に根ざしています。日本では、他者との関係性を重視し、相互の信頼や共同の利益を大切にする文化が育まれています。一般的に日本では時間を尊重し、他人の時間を奪うことを避けるよう心がけます。遅刻は失礼とされ、時間通りに約束を守ることが期待されます。そのため、遅刻や予定の変更は他者に迷惑をかけることとされ、社会的な責任を意識する文化が根付いています。

ベトナムも集団志向が強く、家族やコミュニティの結束を重視する文化です。しかし、日本と異なる点は、時間に対するベトナム独自のアプローチにおける柔軟性や人間関係を重視する姿勢です。

ベトナムでは、人間関係やコミュニケーションを優先することが、時間よりも重要視されることがあります。時間の厳密な遵守よりも、人々との関係性や柔軟性が強調されます。この柔軟性は、突発的な変更や即興的な対応を可能にし、時には時間の繰り返しや遅れが許容されることもあります。そのため、相手が遅刻した際の多くのベトナム人の反応は、遅刻者を傷つけたり悲しませたりするのを避け、その遅刻を気にせず済ませることです。相手が無事にここに来られたことが何よりも重要だと考えられています。この考え方は、遅刻の原因を問いただすことなく、遅れた人に対して穏やかに接する傾向があります。時間に対するこのような柔軟性は、相手の気持ちを尊重し、和解を図るためのものであり、一般的なベトナム文化の価値観の一部と言えます。

これにより、時間を厳密に守ることよりも、人とのつながりや相互の理解を大切にするベトナム独自の文化が存在します。つまり、日本とベトナム両国の文化における集団志向や人間関係の重視は共通していますが、時間へのアプローチにおいては、日本とベトナムでは価値観や文化的な重視点が異なることが分かります。

近代化と変化

近年、ベトナムは急速な経済成長に伴い変容しています。一部の都市部では、時間を厳守する傾向が見られますが、それでも伝統的な価値観は依然として強く根付いています。

日本で働くベトナム人の中には、日本の時間に厳格な文化を理解しているにもかかわらず、約束の時間を守れない場合、積極的に謝ることができない人も少なくありません。

したがって、時間を守れないベトナム人を指導する際には、単に「時間を守ることはマナーですので、次回から気をつけるように」という指導だけでは、十分とは言えないと考えられます。再発防止策なども検討しておく必要があります。さらに、時間を守らないことが関係者の貴重な時間を奪い、迷惑をかけることに繋がるという時間厳守の原則まで理解できているのかを確認し、丁寧に説明しながら指導することが重要です。指導者はこの点について十分な注意を払う必要があると考えます。

まとめ

ベトナム人の時間感覚は、歴史的背景や集団志向、柔軟性、そして近年の変化など、複合的な要因によって形成されています。ベトナムには「ラバータイム」という概念があります。

「ラバータイム」とは、時間がゴムのように伸びたり縮んだり、たわんだりするものであるという考え方を指し、つまり、気にせず自在に動かすべきだという意味合いがあります。このブログ記事を通じて、ベトナム独自の時間に対するアプローチをより理解していただければ幸いです。ベトナム人と共に業務を行う際や、彼らに時間厳守を指導する際には、お互いの文化を理解し合い、最適な計画を立てて進めることが肝要だと思います。

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