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なぜ、外国人技能実習生はなかなか日本語が話せないの?その背後に潜む課題と解決策

2024.05.17仕事関係

こんにちは、アイプランニングです。外国人技能実習生と一緒に働いていると、日本語のコミュニケーションがスムーズにいかない場面に遭遇したことがあるかもしれません。簡単な日本語の文章なのに、なぜ相手が理解できないのか、と感じることもあるでしょう。このような状況でストレスを感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、その背景にはどんな課題が潜んでいるのか、そしてどのように解決策を見つけられるのか、考えたことはありますか?

今回のブログでは、外国人技能実習生がなかなか日本語を話せない理由について掘り下げ、その背後に潜む課題と解決策を探っていきます。コミュニケーションのギャップを埋めるために何ができるのか、一緒に考えてみましょう。

技能実習生の日本語レベル

日本語能力試験はN1からN5までありますが、技能実習生の標準的な日本語レベルはN4です。職種によっては、より高度な日本語能力が求められる場合もあります。しかし実際には、N5レベルの日本語しか持たずに来日する技能実習生も少なくありません。

日本語レベルN4やN5は、 かんたんな漢字をつかった日本語の文を読むことができ、ゆっくりとしたスピードであれば日常的な会話が理解できるレベルです。

つまり、ゆっくり話せば実習生は理解できますが、通常の日本語会話に近いスピードになると実習生は理解できず、仕事のミスにつながる可能性があります。

技能実習生が抱える問題点

1. 来日前の日本語教育
丁寧語に偏った日本語学習

日本語には多くの活用形があり、同じ単語でも語尾の変化によって意味やニュアンスが変わります。技能実習生が来日前に受ける日本語教育では、丁寧語の表現が中心に教えられることが多いです。例えば、実習生が「〜してください」という表現を覚えていたとしても、現場の上司が「ちょっとこれ、しといて」と言った場合、その意味や意図を即座に理解するのは難しいことがあります。実際の職場ではこれらの短縮形や省略形は日常的に使用されますが、実習生にとってはなじみが薄く、混乱を引き起こしやすいです。

また、日本語学習用のテキストは多くが礼儀正しさを重視して丁寧語で書かれています。そのため、実習生はこれらの例文やフレーズをそのまま暗記する傾向があります。しかし、実際のコミュニケーションの場では、地元の日本人が使う口語や省略形、さらには方言が含まれることもあり、学んだ丁寧語が通じず理解に苦しむことがあります。このようなギャップは、作業効率やコミュニケーションの円滑さに影響を与えるだけでなく、実習生にストレスや不安をもたらす原因ともなります。

日本人の発音に慣れていない

送り出し機関による日本語教育の現場では、元技能実習生などが教師を務めるケースは少なくないようです。こうした教師の日本語には母語の影響が色濃く残ることがあり、日本語教育において自身が習得した発音で授業を行うことが多いため、学習者である実習生もその発音に慣れてしまいます。そのため、学習中はその発音で理解しやすいですが、日本に実際に来てからは、日本人ネイティブの発音やイントネーションに適応することが難しくなることがあります。

日本人の発音は、音の強弱やリズム、さらには地域によって異なるイントネーションの違いがあるため、実習生にとっては聞き取りにくく感じられることが多いです。例えば、教室では明瞭に発音される単語やフレーズも、実際の会話ではスピードが速くなったり、連続して発音されることが多く、これが理解の障壁となります。これにより、現場での指示を正確に聞き取れず、作業のミスやコミュニケーションの問題が発生しやすくなります。

2. 専門用語と仕事に特化した日本語の不足

実習生が来日前に学ぶ日本語の多くは、日常会話に基づいた内容が中心です。基本的な挨拶や簡単な会話、買い物や食事の際の表現など、一般的な日常生活で使われる言葉が主に教えられます。しかし、実習生が実際の職場で直面するのは、仕事特有の専門用語や独特の言い回しです。これらの専門的な表現や用語を事前に学ぶ機会が少ないため、実際の現場に出た際に戸惑いや困惑を感じることが多くなります。
例えば、工場で働く実習生が機械の操作に関する指示を受ける際、機械の部品名や操作手順を示す専門用語が理解できない場合があります。また、建設現場では、作業指示や安全に関する注意事項が独特の専門用語を伴って伝えられることが多いです。このような状況では、実習生が指示を正確に理解できず、作業効率が低下したり、重大なミスが発生したりするリスクが高まります。

3. 日本語学習時間の確保とモチベーションの問題

技能実習生は、技能の修得を目的として来日しているため、日中の大部分の時間を仕事に費やしています。このため、仕事が終わる頃には疲れ切ってしまい、自主的に勉強する時間やエネルギーを確保するのが難しくなります。さらに、日本語教室や教育サービスは平日の日中にしか開講していないことが多く、実習生にとっては学習の機会が非常に限られています。このような状況では、技能実習生が短期間で効果的に日本語を上達させるための学習環境を整えることが求められます。さらに、技能実習生のモチベーションを維持し、向上させるためには、学習の成果を実感できるような工夫も重要です。

技能実習生に対する日本語の教え方3つのポイント

ポイント① 仕事に必要な日本語に絞って教える

授業では、一度に多くの単語を覚えさせるのではなく、仕事で頻繁に使う単語や表現に焦点を当てることが重要です。実習生にとって、日常会話の中で使用する日本語ももちろん大切ですが、まずは仕事で必要とされる語彙や表現を優先的に教えることで、実際の業務でのコミュニケーションが円滑になります。具体的には、日々の作業手順、職場での指示や報告に関連する言葉を中心に取り上げます。例えば、製造業であれば「部品」「組み立て」「検査」などの専門用語を、農業であれば「収穫」「苗」「灌水」などの用語を重点的に教えます。また、1回の授業で覚える語彙数を制限し、実習生が確実に身につけられるように配慮します。こうすることで、実習生は混乱することなく、効率的に学習を進めることができます。さらに、学んだ単語や表現を実際の仕事の中で繰り返し使用する機会を増やすことで、記憶の定着を図ることも重要です。授業の中でロールプレイやシミュレーションを取り入れ、実際の職場環境に近い状況で練習することで、実習生の理解が深まり、より実践的な日本語力が身につくでしょう。

ポイント② 技能実習生の「わかりました」を鵜呑みにしない

実習生が「わかりました」と言っても、実際には理解していない場合があります。これは、文化的な背景や言語の壁から、「わかりました」と答えることが礼儀と考えられていることが多いためです。しかし、これが仕事での失敗につながることも少なくありません。勉強の際には「わかりましたか?」と尋ねるだけではなく、実際に理解しているかどうかを確認する必要があります。例えば、「この部品を組み立てる手順を説明してください」といった具体的な質問をすることで、実習生が正しく理解しているかどうかを確認できます。

また、実習生が「わかりません」と言える環境を作ることも重要です。これは、間違いや不理解を恐れずに質問できる雰囲気を作り出すことを意味します。その際に、実習生が「わかりません」と答えた場合は、叱るのではなく、別の言い回しを使ったり、視覚的な資料を用いるなどして、異なる方法で説明を試みることが効果的です。こうした取り組みによって、実習生は安心して学習できる環境が整い、より深い理解が促進されます。理解の確認を怠らず、実習生が自信を持って「わかりました」と言えるようになることで、仕事の現場でのトラブルも減少し、効率的な作業が可能になります。

ポイント③ あいまいな表現を避ける

実習生は日本語の意味を理解しても、意図がわからない場合があります。指示を出す際にはあいまいな表現を避け、具体的に伝えることが重要です。以前のブログでも紹介しましたが、職場では「技能実習生にとって理解しやすいやさしい日本語」を使用するよう心がけましょう。例えば、一文を短く区切って話したり、難しい言葉を簡単な言葉に言い換えたりします。「土足厳禁」ではなく「靴を脱いでください」、「お昼までの進捗状況を報告してください」の代わりに「お昼までにどこまで終わったかを私に教えてください」といった具体的な表現に工夫すると良いでしょう。

まとめ

技能実習生の来日前の日本語レベルは、それぞれ異なります。教科書で学んだ日本語と、実際の仕事や生活で使う日本語には大きな違いがあるため、多くの実習生は日本語が話せないとみなされています。しかし、今回のブログ記事を通じて、技能実習生が直面している日本語に関する現状や課題を理解していただければ幸いです。実習生の日本語が上達すれば、仕事の効率も向上します。

実習生への日本語指導のポイントは「交流を高める」と「違いを楽しむ」ことです。日本で実習をするからといって、技能実習生が日本人に完全に合わせるべきだという考え方もありますが、「こんなところが違うんだね」とお互いに尊重し、前向きに捉えられるような指導を心がけることが重要でしょう。相互理解を深めることで、職場の環境はより良いものとなり、実習生も日本での経験をより充実したものと感じることができると思います。

※当社アイプランニングは自らの経験をもとに、技能実習生や外国人従業員向けに、職場でのコミュニケーション効率を向上させるための日本語教育方法について有益な情報と効果的なアドバイスを提供しております。お気軽にご相談ください。

また、以下のようにベトナム人向けの無料日本語学習教材も提供しております。資料は定期的に更新されますので、ぜひご確認ください。社内での日本語教育等にお役立ていただければ幸いです。

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