矛盾を抱えたベトナム人の性格とは?採用時に知っておきたいポイント Part.1
ベトナム人と接したことがある方なら、彼らの性格の不思議な面に驚いたことも多いのではないでしょうか。彼らは仕事や日常生活において、時に日本人には理解しがたい行動をとることがあります。例えば、仕事のやり方がわからないのに、自分が理解しているかのように振る舞い、思わぬミスを招いてしまうこともあります。また、約束の時間に遅れた際、単に謝罪するだけでなく、交通渋滞などの外的要因を挙げることもよくあります。
実は、ベトナム人の性格には、このような複雑な矛盾が見られますが、良い側面も悪い側面も存在します。採用の際には、これらの矛盾を理解し、彼らの個性を活かすことが重要です。そこで、今回のブログでは、ベトナム人の性格の中にある矛盾に焦点を当て、採用時に知っておきたいポイントについて探ってみたいと思います。
勤勉だが満足しやすい
ベトナム人の多くは勤勉であり、その特性は古代からの農業国の歴史に根ざしています。彼らは農作物の豊凶に応じて感情が変化し、不作の時には心配するが、豊作の時にはすぐ満足してしまう。この古代の考え方は、現代でも深い影響を与えています。ベトナム人は一時的な結果に満足しやすく、将来に向けて積極的に行動することが少ない傾向があります。
この特性は、彼らの労働態度にも反映されています。成功や安定感を得ると比較的早く満足してしまうため、採用する際にはモチベーションを維持するための工夫が必要です。定期的な目標設定やチャレンジングなプロジェクトを提供することで、彼らが自己成長を続けることができるように支援することが重要です。
また、ベトナム人は新しいものに対する関心が高く、流行に敏感です。都市部に住む人々は特に、自慢をすることや新しいものを手に入れることに喜びを感じます。しかし、新しい環境や自分に合った職場が見つかればすぐに転職する傾向もあります。このような転職の頻度は、日本の企業文化とは異なるため、多くの日系企業の採用担当者にとって課題となっています。
採用時には、ベトナム人の特性を理解し、適切に対応することが重要です。彼らの能力を最大限に引き出し、長期的な関係を築くためには、彼らのニーズや欲求を考慮しながら働く環境を提供することが不可欠です。
短期的な困難に対処する場合は賢く創造的だが、長期的かつ積極的に考える能力に欠けている
ベトナム人は、短期的な課題に対処する際に創造的で賢明な解決策を見つける素晴らしい能力を持っています。彼らは柔軟性に富み、即座に問題に対処する能力に長けています。しかしながら、彼らの特性には長期的で積極的な視野に欠ける側面もあります。
このような特性は、ベトナム社会が歴史的に不安定な状況や経済的な困難に直面してきたことに起因しています。彼らは生活の安定や即時の利益を確保することに焦点を当て、そのためには短期的な手段を選択することが多いのです。将来の見通しや計画について深く考えることが少ないのが一般的です。
この傾向は、ビジネスの場面でも見られます。ベトナム人が自分でビジネスを始める場合、利益が見込める分野に飛び込み、1~2年で成功を収めることを望むことがよくあります。しかし、ブランド構築や長期的な顧客関係の構築などの重要性を見落とすことがあります。同様に、ベトナム人の労働者は、給料の高い他の仕事にすぐさま転職しようとする傾向がありますが、福利厚生や労働環境などの他の要因を無視することがあります。
しかしながら、このような特性は、必ずしも否定的なものではありません。ベトナム人の柔軟性や即座の対応能力は、多くの場面で非常に役立ちます。したがって、ベトナム人の採用後は、雇用主にとって重要なのは教育です。適切な教育を通じてベトナム人は、将来の見通しや長期的な目標を考慮して行動する能力を高めるスキルを身につけることができるでしょう。
器用ながらも、完成品の最終仕上げに注意を払わない特性
ベトナム人は手先が器用でありながら、完成品の最終仕上げにはあまり気を配らない傾向があります。具体的には、製品の外観品質が要求される場合でも、表面処理の段階では熟練した技能を持ちながらも、最後の工程で細部にまで注意を払わないことが挙げられます。
たとえば、塗装やメッキなどの表面処理が完璧であっても、製品を梱包する最終工程で手袋を使わず素手で取り扱ったり、指紋が残るような扱いをしてしまうことがあります。これによって、前段階までの努力が無駄になってしまうことがあります。
この特徴を理解し、業務上の最終工程では、細部にまで注意を払い、製品やサービスの品質を確認することが重要であり、ベトナム人スタッフに対してこの点を教育する必要があります。特に、仕事の完遂能力やディテール重視の重要性を強調し、採用時には品質管理の重要性を徹底的に伝えることが必要です。また、良い例を示すことで、同僚たちも品質管理に同じくらいの注意を払うようになるでしょう。
学習意欲が高く、吸収力も早いが、「最初から最後まで」の学習は稀
ベトナムの文化には学ぶことへの熱意が根付いており、その伝統が今も続いています。ただ、この学ぶことへの熱意の裏には、親孝行や名誉の概念が含まれます。ベトナム人は学習意欲が高く、知識を吸収する能力も早いのですが、「最初から最後まで」という徹底した学習はあまり行われません。彼らは自己啓発のために勉強することは少なく、小さい頃は家族のために勉強し、親孝行を果たすことが重視されます。成長すると、見栄や社会的地位の獲得のために勉強することが一般的です。その結果、彼らの知識は体系的で基礎的なものではなく、断片的なものとなっています。
また、ベトナム人は、試験に合格し、社会的地位を確立し、名声や富を手に入れるために勉強するという儒教の影響を今も受けています。このため、勉強は単なる個人の目標ではなく、家族や社会からの期待に応える手段として位置づけられています。さらに、ベトナム人は学習や研究を行う際には定説を重んじ、利用可能な理論を暗記する傾向が見られます。この形式主義的な学習スタイルは、彼らの創造性や批判的思考を抑制し、自信を失わせる結果となります。
ベトナム人を雇用する際には、彼らの学習スタイルや価値観を理解した上で、創造性や柔軟な発想を奨励し、新しいアイデアやアプローチにオープンであるようにサポートすることが重要です。彼らに自信を持たせ、自分の考えやアイデンティティを尊重する風土を育むことが、生産性と満足度の向上につながるでしょう。